【誰でも応用できる「易医漢方」】

佐藤六龍著

(香草社会報誌・季刊「五術」平成16年9月号に掲載文から抜粋)



日本は周易が非常に盛んです。五術家も一般教養人も好きです。しかし占術としては最低というより、論ずるに足りない愚劣なもので、占いとしては使用にたえないものであることは、何度もこれまで記してきました。

江戸時代の周易の人々は、この周易を使って薬を用い病を治す「易医」という書を数多く書いています。これは日本独特のものです。
中国や当流では周易ではなく、易卦を符号化して、コンピュータと同じ原理を用いて漢方薬を用いる「易医」というものを考え出しました。

病人を診、漢方薬を用いるのに、易卦をたてるのではなく、病人の病状体質を、易卦に符号化して、漢方薬を用いるのです。易医というと、易卦をたてる、と勘違いする人が多いのですが、そんな偶発的なことで、病気が治るものではありません。

易卦は六爻あって一卦となり、基本卦が八卦で六十四卦の易卦が構成されます。これに病状体質をあわせたものが、本当の易医なのです。

病人をまず「陰陽」に分け、次に「四要」を分け、次に「経絡」を分け、「熱寒」を分け、「実虚」を分け、「風水燥湿」を分けるのです。つまり病人の体質・病状を六段階に分けるのです。符号として陰陽に分けます。そうしますと、六段階ですから、六爻におさまり、一つの易卦になります。

そして、その易卦にはそれぞれ漢方薬の処方が配されていますから、すぐ病人にあった処方が得られるわけです。
サラリーマンの人がカゼをひいたとき、カゼはひいたがまだ勤めに出ている(元気があるから陽)、会社を休んで床についた(元気がないから陰) − これで上爻がきまります。

次に苦痛部を調べます。のどが痛い、腹が痛いで外側なら陽、下痢なら陰 − これで五爻が決まります。
次に病気の位置を陰陽に分けます。(略)
次に病症の熱と寒を陰陽に分けます。
次に病気の勢いを実と虚の陰陽に分けます。
次に病気の原因、寒さにあたったのか、冷えすぎたのか、というのを陰陽に分けます。
こうして陰陽を六回分け、一つの易卦を出していくのが易医です。

熱があるが会社に出た「陽」、頭がガンガンする「陽」、初期である「陽」、のどがかわいて水を飲む「陽」、日頃元気である「陽」、残業して夜おそく風にあたった「陽」、で、乾為天という易卦になります。

処方は、大青竜湯という処方になり、これを二服も飲めば、汗が出ていとも簡単に治ります。

要は、易医は、病位の陰陽・病位の四要・病位の経絡・病症の熱寒・病勢の実虚・病因の風水燥湿を、陰陽の記号に分けてみる方法です。